演劇好きが3か月間オンライン観劇をして感じたこと

1か月ちょっと前にこんな記事を書きましたが(演劇好きが自宅からオンライン観劇をしてみたら http://soreike-ooo.seesaa.net/article/474583917.html)、ぼちぼちオンライン観劇を続けています。

パソコンとテレビをつなぐコードをみつけたので、最近は

 パソコンとテレビをつなぐ
 日中の場合はカーテンをしめる、夜は蛍光灯を消して部屋を暗くする
 ドリンクを用意(昼間ならポットにたっぷり入れた紅茶、夕方以降ならビールとおつまみ)
 家族に観劇中であることを伝えておく(声をかけられないように)

などの事前準備をした上で観劇しています。
パソコンからみると、モニターに見ている自分の姿が映って気になってしまうのでチャット機能を使わないときは極力テレビにつなぐようにしました。他のものが目に入ると気が散るので、部屋もなるべく暗くします。

そこまで整えたうえで、私のオンライン観劇あるあるは

 どうしてもスマホをいじってしまう
 途中で筋トレを始めてしまう

の2点につきます。

モニターの前でじっとしていられないからなんですけど、なぜ筋トレなのかは自分でもよくわかりません。

劇場に行って、他のお客さんもいるなかでおとなしく観劇をするプレッシャーって、ものすごく大きいのでしょうね。
その制御機能のない自宅だと、筋トレをしてしまうのか、自分…。

筋トレまでする人は少ないにしても、やはり配信をみるという行為は、「舞台が自分の手中にある」という感じがしています。
自分の思うままに一時停止も、早回しも、その場で芝居をとじてしまうこともできる。
スマホの電源を切って、自分の身体と時間を委ねなくてはならない劇場と異なり、自分の存在が芝居に干渉しないとわかっているんです。
それが、モニターの前のじっとしていられない、につながっているような気がします。


3月は、既に上演された映像を公開する団体もしくは、無観客のパフォーマンスを生配信という形が多いように感じました。
4月に入ってからは、zoomを使った配信が増えた印象です。
「未開の議場」や「12人の優しい日本人」、つい最近だと劇団ノ―ミーツ「門外不出モラトリアム」も話題となりました。
外出できない状況でできることを考え、取り組んできたものがようやく形になるまで1か月2か月の時間が必要だったんだろうな。
劇団ノ―ミーツは、見逃してしまってとても悔しいのですけど、緊急事態宣言解除前夜に千秋楽を迎えたというところに何か集大成感を覚えてしまいます。

さて、数か月オンライン観劇を続けて感じた/気になったことを忘れぬうちに記しておこうと思います。
この数か月で起きた感覚の変化は大きくて、その変化が当たり前になってわからなくなるかもしれないので。
そしてまた劇場で演劇ができるようになったら、気づけることもあるかもしれません。zoom飲み会もいいけど、会えるようになったらこういう話も集まってしたいですねー。

ネット環境

配信する側はもちろんだけど、見る側のネット環境も大事。
とは言え、たまにネットにつながらなくなることもろあるので、リアルタイム配信でも終わった後1~2時間はみれるといいなと感じます。
そうすると先に書いた停止ができちゃうというデメリット(?)が出てきちゃうんですけど。

視聴者数がわかることとコメント機能

視聴者数がみれると、劇場にいるように、多くの人と一緒に観劇していると実感ができます。
コメントは、劇場とは全く違う楽しみ方ができます。
視聴数とコメント機能のおかげでただ録画したものを一人でみているのとは違う感覚がもてます。


観劇時間帯が遅め

リアルタイム配信の場合週末の日中も多いですが、21時くらいの配信開始も多い印象です。
劇場公演ではありえない時間帯。
自宅にいると、晩御飯食べてお風呂に入って、ゆっくりしたあとに見れるのでちょうど良いです。

宣伝期間が短い

そもそも企画が動き出したのが、外出自粛が呼びかけられた2月後半以降なのであたり前なんですけど。
数か月前には、宣伝を始める劇場での公演と比べて、宣伝期間が圧倒的に短いです。
私の感覚では、長いところで1か月くらい。
「未開の議場」の場合は、3月29日にツイッターで役者募集を開始して20日後の4/17には配信をしているわけです。

情報公開まで3日というスピードにも驚きですけど、実質宣伝期間は2週間だもんねー。


それでも多くの観客を集められる配信がある理由は緊急事態宣言の期間中なので、

 直前でも予定が空いている
 人々のSNSの接触率が高いので、直前にガッと宣伝したほうが効果が高い

などの事情があるのかもしれません。
もちろん、おもしろそうという興味を引けることが大前提です。

チラシ不要論

これまで何度となくされていた、演劇の公演チラシ/チラシ折込必要?という議論。
今回のオンライン配信では折込していないですね。
それはもちろん、今は劇場をあけられなくて、公演なくて、折り込むことができないからだけど。

みんなが自宅にいるので、届ける方法がネットに偏って、それでも成立したという経験をしたことで、以前よりもチラシやチラシ折込に頼る比率がさがるような気がします。

ただネットでも宣伝ビジュアルは必要、というかより重要になりそうですね。


事前にチケットを購入するハードルの高さ

私が劇団ノーミーツを見逃したのはここなんですよね。
初日の感想ツイートをみて公演があることは知っていたけど、その日は他にもみたい無料配信がいくつもあったのでそっちを優先してしまったんです。

見ればよかったーと思ったのは、千秋楽が終わってから。

普段、劇場で観劇をするときは、チケット代を気にすることはあまり多くはありませんが、今回は気にしてしまいました。
無料が良いとは思わないけれど、無料配信が乱立する中だったもので。
この配信ラッシュもそろそろ落ち着く時期かもしれません。そうするとこの感覚は早いうちに変わっていくと思います。


リアルタイム配信は、本当にリアルタイムなのか

なるべく生の演劇に近い形で、とリアルタイムで演じて配信する団体も多いと思います。
ですが、画面越しにうつるキャストの姿を「今の姿」と思える理由はなんなんだろう。ということを考えています。
(そもそも若干のタイムラグは必ず発生しますが、それには目をつむったとしても)

劇場であれば、目の前に役者がいる、ということがまさに今、演じている証明になります。
配信の場合視聴数や、コメント欄で多くの人が同時に視聴していることはわかるけれど、役者が今、演じている証明にはなりません。
特にコメント欄と役者の間でやりとりのない配信の場合、事前に収録されたものであってもおそらく気づけません。
これはテレビの生放送でも言えることですね。

そう考えると、リアルタイム配信がなりたつには「今、やっているんだ」という見る側の思い込みが必要になってきます。

劇団ハタチ族の366日毎日公演 での「テレフォンシアター」や、SPACの「でんわde名作劇場」が電話越しに芝居をするのは、俳優が今ここで演じていることへのリアリティに重きおいているからだろうと思います。

 

オンライン配信は俳優に配分が届きやすい形?

オンライン配信の料金は無料、カンパ制、有料、配信定額制など様々あります。

で、劇団単位でやっている配信のカンパ制や有料の場合、通常公演よりも役者に配分がいくような気がします。
通常の劇場公演だと、小劇場で週末のみの公演で、となると劇場費、美術、道具、衣装費用に加えてスタッフ費用が大半をしめてしまい、俳優への配分を十分に確保するのってなかなか難しいです。というか公演するために身銭切っている人が多いはず。
だけど、オンライン配信の場合、劇場費、美術費用がほぼかからず俳優を含めた関係者へその多くが還元されているのではないかと予測されます。その分配信環境にはお金がかかっているけど劇場費用などと比べると大した額ではないでしょう。

劇場公演と比べて、会場規模を小さくしスタッフワークをなるべくシンプルに、予算を少なめに行うカフェ公演をさらにライトにした感じ。
俳優に配分がきちんといく、てなかなか難しくて、オンラインだからこそそれが成し遂げられるなら画期的だと思います。
ただ、先にも書いたけど無料配信が多い中で、有料で太刀打ちするところには大きなハードルがあります。

技術スタッフは今

オンライン配信で俳優はこれまでにない活路を見出せそうな半面、技術スタッフさんは今、本当に苦しい状況にあると思います。
裏方がオンラインで活躍できるポイントはどこなんだろうとずっと考えていますがいう答えはまだ見えていません。映像と音響は配信のための映像編集の中で仕事がありそうだけど、照明、舞台監督はどうしたらいいんだろう。
少し失礼な言い方になってごめんなさい。
これまで、小劇場の中でも職業として比較的、金銭の発生する仕事として成り立っていた職種が、オンライン配信ではほとんど使われていません。
オンライン配信では、演劇の一番原始的な要素である俳優とネット環境でほぼなりたってしまい、これまでテクニカルスタッフがになっていた部分をどう織り交ぜていくかということは発明されていないように感じます。
きっと劇場で、久しぶりに音響、照明ががっつり入った芝居をみるときには感激するだろうな。

でるか?CoRich舞台芸術!の公演会場にオンラインという選択肢

ここまでくると、演劇ポータルサイトの公演会場登録に、zoomや、youtubeliveなどの「オンライン会場」という選択肢がでてきてもいいように思います。

劇場で実際に公演するときだって、オンライン会場は使えそうです。
しばらくは劇場にいきづらいと感じる人も多いでしょう。
これまでチケット購入者との兼ね合いであまり好まれていないように感じていましたが、これからはむしろ歓迎される気がします。

なので、劇場で公演できるようになっても、オンライン配信も併用する。
チケットは、劇場版と、オンライン配信版の2つつくる。

そうすれば、劇場にいくのがまだ不安な人や、体調不良で劇場に行けなくなった人も劇場もみれる。
リアルタイムでなくてもいいし、公演動画にコメントで演出が解説をつけていくような配信にしてもいい。
後日配信はzoomでのリーディング版になるけど役者の表情がずっとアップでみれるとかも楽しそう。
劇場版、オンライン配信版の両方みる人がでてくるような形だと素敵だな~。


劇場では今後、座席数を減らした形で公演をしなくてはならないでしょう。
そういう制限から、どういう届け方ができるか、を考えるのは楽しいです。
これからの演劇の届け方の進化にも期待大です。


*****
2020年5月25日現在。
今はこのように感じていますが、この感覚はきっとこれからどんどん変化していくと思います。
私にはこのようにみえていますが、みなさんがどんなふうに感じているかもお話できる機会がもてると嬉しいです。

*****
2020年5月28日追記

この数日で、友人と話して気づいたことがあったので追記します。


再演が早い

千秋楽から3日後。見逃していた、劇団ノーミーツの再演配信が発表されました。
わ~い!早速チケットを買いました。自宅にいるからってつい忘れないように気を付けておかないと!!

「未開の議場」も最初の配信から少しして英語字幕をつけての再演をおこなっています。
お客さんの反応をみてすぐに再演をできるというのは、オンラインでの演劇ならではかもしれません。

地方だと週末の数日しか公演をしない団体が多いので、せっかくよい作品ができても口コミで広まる頃には公演が終わっているということがしばしばあります。

評判がよくて再演をしようと思っても、劇場で公演であれば、まず会場を押さえなくてはいけないので早くても半年~1年の期間が必要です。うまく空いている会場がみつかれば、数か月後にという例もありますが、稀なケース。

そんな先の公演なので、かかる費用も手間も新作公演をするのとほぼ同じくらいのレベルで発生します。期間があけば、同じ演目で同じキャストであっても稽古もそれなりに必要になります。

オンライン配信で演劇をおこなう場合、会場を押さえる必要がないのでキャストスタッフのスケジュールが空いていれば可能になります。
翌週にキャストスタッフのスケジュール確保できたのは、緊急事態宣言が解除されたとは言え、まだまだイベントが少ないという今の状況によるものかもしれません。

しかもすぐに再演をするのであれば、稽古も多くは必要ないでしょう。
公演を終えてばらしたセットを再び組むということも必要ありません(各撮影場所で小規模にはあるかもしれないけど)。
そう考えるとおそらく再演にかかる費用と手間はそう多くはかからないはず。
それが再演のしやすさにつながっているのだと思います。

月末は通信速度制限との闘い

月末になると通信データ使用量超過による速度制限にひっかかる人が増えていきます。
特に、Wi-Fiがなくスマホで観劇している人の場合。
私自身は自宅のWi-Fiをしようしているので、全く気にしていなかったのですが、同じ配信であれば月初に配信のほうが安定して観劇ができそうです。

自宅観劇は一人になれる静かな環境がある前提

演劇は、テレビ番組や映画よりも集中してみる必要があるようです。他の作業をしながらみるのは難しい。
小さなお子さんがいる家庭などは結構難しいのかもしれません。
特にリアルタイム配信でアーカイブが残らない場合は、みれるかどうかは運次第(子どもの機嫌次第)。
ネットがあればいつでも観劇できる、と思っていたけど必ずしもそうではないのですね。

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